適切なメディアの選択
ハードウェア要件
始める前に、amd64の機械に首尾よくGentooをインストールするために必要なハードウェアの条件を示します。
Minimal CD | LiveDVD | |
---|---|---|
CPU | あらゆる AMD64 CPU と EM64T CPU (Core i3, i5 そして i7 プロセッサは EM64T) | |
メモリ | 256 MB | 512 MB |
ディスク容量 | 2.5 GB (スワップ領域を除く) | |
スワップ領域 | 最低 256 MB |
AMD64 project (英語) は、Gentoo の amd64 対応についての詳細を知るのに良い場所です。
Gentoo Linux インストールメディア
MinimalインストールCD
2018年8月23日現在、公式 Minimal CD は UEFI モードで起動できます。古いバージョンは BIOS (MBR) モードでのみ起動します。UEFI ブート可能なシステムを構築しようとしている読者は最新の ISO をダウンロードする必要があります。
Gentoo MinimalインストールCDは、独立したGentoo環境を含むブート可能イメージです。このCDを使うとLinuxをCDやその他のインストールメディアから起動することができます。起動時、接続されたハードウェアが検出されて適切なドライバが読み込まれます。 このイメージは、Gentooの開発者によってメンテナンスされるもので、インターネット接続さえできれば誰でもGentooをインストールできるようにします。
MinimalインストールCDは、install-amd64-minimal-<release>.isoと呼ばれます。
必要なときに使うGentoo LiveDVD
必要な場合に使う、Gentooをインストール用の特別なDVDがGentoo Tenプロジェクトによって作成されています。この章以降で説明する方法は、MinimalインストールCDをターゲットにしているので、少々の差異があるかもしれません。しかしLiveDVD (または他の起動可能なLinux環境) は、ターミナル上で単純にsudo su -またはsudo -iを実行するだけで、rootプロンプトの取得を行えます。
Stage とは?
stage3 tarballは最小限のGentoo環境を含んだアーカイブで、このマニュアルに従ってインストールを進めるのに適しています。以前は、Gentooハンドブックでは3つのstage tarballから1つを選ぶインストール方法を説明していました。現在でもstage1とstage2 tarballを提供していますが、公式なインストール手順ではstage3 tarballを使用します。もしstage1またはstage2 tarballからインストールしたいのであれば、Gentoo FAQ内のGentooをstage1やstage2のアーカイブからインストールするには?を読んでください。
stage3 tarballは、公式Gentooミラーのいずれか のreleases/amd64/autobuilds/からダウンロードできます。stageファイルは頻繁に更新され、インストールイメージの中には含まれていません。
ダウンロード
メディアの入手
Gentoo Linuxが使う既定のインストールメディアは、MinimalインストールCDで、とても小さいブータブルGentoo Linux環境を格納しています。この環境はGentooをインストールするために最適なツールをすべて含んでいます。このCDのイメージは、ダウンロードページから(推奨)か、たくさんの利用可能なミラーのいずれかを自分で選び、そのミラー上でISOが置いてある場所を訪れることで、ダウンロードできます。
ミラーからダウンロードするなら、以下の場所でMinimalインストールCDを見つけられます:
- releases/ディレクトリに行く。
- 関連するターゲットアーキテクチャのディレクトリ(例えばamd64/)を選択する。
- autobuilds/ディレクトリを選択する。
- amd64とx86アーキテクチャでは、それぞれcurrent-install-amd64-minimal/ or current-install-x86-minimal/のどちらかを選択する。他のすべてのアーキテクチャでは、current-iso/ディレクトリへ進む。
arm、mips、s390のような一部のターゲットアーキテクチャには、MinimalインストールCDがありません。現時点では、Gentoo Release Engineering projectはこれらのターゲット向けの.isoファイルの作成をサポートしていません。
この場所の中では、インストールメディアファイルは.isoという接尾辞 (拡張子) を持ちます。例えば、以下の一覧を見てみてください。
[DIR] hardened/ 05-Dec-2014 01:42 - [ ] install-amd64-minimal-20141204.iso 04-Dec-2014 21:04 208M [ ] install-amd64-minimal-20141204.iso.CONTENTS 04-Dec-2014 21:04 3.0K [ ] install-amd64-minimal-20141204.iso.DIGESTS 04-Dec-2014 21:04 740 [TXT] install-amd64-minimal-20141204.iso.DIGESTS.asc 05-Dec-2014 01:42 1.6K [ ] stage3-amd64-20141204.tar.bz2 04-Dec-2014 21:04 198M [ ] stage3-amd64-20141204.tar.bz2.CONTENTS 04-Dec-2014 21:04 4.6M [ ] stage3-amd64-20141204.tar.bz2.DIGESTS 04-Dec-2014 21:04 720 [TXT] stage3-amd64-20141204.tar.bz2.DIGESTS.asc 05-Dec-2014 01:42 1.5K
上記の例では、install-amd64-minimal-20141204.isoというファイルがMinimalインストールCDそのものです。 しかし見て分かりますが、他の関係ファイルも存在しています:
- .CONTENTSファイルは、インストールメディアで利用可能な全てのファイルの一覧を含むテキストファイルです。このファイルは、インストールメディアをダウンロードする前に、特定のファームウェアまたはドライバが含まれているかどうか調べるために使えます。
- .DIGESTSファイルは、様々なハッシュ形式とアルゴリズムで計算したISOファイルのハッシュ値を含んでいます。このファイルは、ダウンロードしたISOファイルが破損しているか否かを調べるために使われます。
- .DIGESTS.ascファイルは、(.DIGESTSのような) ISOファイルのハッシュ値だけではなく、ファイルのデジタル署名を含みます。これは両方ともダウンロードしたファイルが破損しているか否かを調べるために使われますが、同様にダウンロードしたものがGentooリリースエンジニアリングチームによって実際に提供されたものであり、改竄されていないかを調べるためにも用います。
今のところ、この場所で利用可能な他のファイルは無視してください。インストールがもっと進んだ後に再登場しますので。.isoファイルをダウンロードし、もしダウンロードの検証が必要であれば、.isoファイル用の.DIGESTS.ascファイルも同じようにダウンロードします。 .CONTENTSファイルはダウンロードする必要はありません。これからのインストール手順ではもう参照しないからです。.DIGESTSファイルと.DIGESTS.ascは、後者が署名されていることを除いて、同じ情報が含まれています。
ダウンロードしたファイルを検証する
これは任意自由選択なステップで、Gentoo Linuxをインストールするために必須なものではありません。しかしながら、ダウンロードしたファイルが破損していないことを確かめ、Gentooインフラストラクチャ チームから実際に提供されていることを保証するため、推奨されます。
.DIGESTSと.DIGESTS.ascファイルを通じ、ISOファイルの妥当性は、適切なツール群を用いて確認できます。この検証は通常、2つのステップで行われます。
- まず、デジタル署名を検証します。これは、インストール·ファイルがGentooリリースエンジニアリングチームによって提供されていることを確認するためです。
- デジタル署名が正しければ、ダウンロードされたファイル自体が破損していないかを確かめるため、チェックサムを検証します。
Microsoft Windows上での検証
Microsoft Windowsシステムでは、チェックサムとデジタル署名を検証するための適切なツール群が普通にある見込みはまずありません。
まずデジタル署名を検証するには、例えばGPG4Winのようなツールを利用できます。インストール後、Gentooリリースエンジニアリングチームの公開鍵をインポートする必要があります。鍵の一覧は署名のページで提供されています。インポート後、ユーザは.DIGESTS.ascファイルの署名を検証できるようになります。
これは.DIGESTSファイルが正しいことを検証しません。.DIGESTS.ascが正しいことだけを検証します。このことはまた、チェックサムが.DIGESTS.ascファイルに含まれる値を用いて検証されるべきであることを意味します。そのため、上記の手順では.DIGESTS.ascファイルのみダウンロードするようになっています。
チェックサム自体は、Hashcalcアプリケーションを使って検証できますが、多数の代替も同様に存在します。ほとんどの場合、これらのツールはユーザに対して計算されたチェックサムを表示しますので、ユーザはこのチェックサムを.DIGESTS.ascファイルの中にある値で検証する必要があります。
Linux上での検証
Linuxシステムでは、デジタル署名を検証する最も一般的な方法はapp-crypt/gnupgソフトウェアを使うことです。このパッケージがインストールされていると、.DIGESTS.ascファイルのデジタル署名を検証するために以下のコマンドが使えます。
まず、適切な鍵を利用できるようにするため、署名のページよりダウンロードします:
user $
gpg --keyserver hkps://hkps.pool.sks-keyservers.net --recv-keys 0xBB572E0E2D182910
gpg: requesting key 0xBB572E0E2D182910 from hkp server pool.sks-keyservers.net gpg: key 0xBB572E0E2D182910: "Gentoo Linux Release Engineering (Automated Weekly Release Key) <releng@gentoo.org>" 1 new signature gpg: 3 marginal(s) needed, 1 complete(s) needed, classic trust model gpg: depth: 0 valid: 3 signed: 20 trust: 0-, 0q, 0n, 0m, 0f, 3u gpg: depth: 1 valid: 20 signed: 12 trust: 9-, 0q, 0n, 9m, 2f, 0u gpg: next trustdb check due at 2018-09-15 gpg: Total number processed: 1 gpg: new signatures: 1
次に.DIGESTS.ascファイルのデジタル署名を検証します:
user $
gpg --verify install-amd64-minimal-20141204.iso.DIGESTS.asc
gpg: Signature made Fri 05 Dec 2014 02:42:44 AM CET gpg: using RSA key 0xBB572E0E2D182910 gpg: Good signature from "Gentoo Linux Release Engineering (Automated Weekly Release Key) <releng@gentoo.org>" [unknown] gpg: WARNING: This key is not certified with a trusted signature! gpg: There is no indication that the signature belongs to the owner. Primary key fingerprint: 13EB BDBE DE7A 1277 5DFD B1BA BB57 2E0E 2D18 2910
すべてが確実であることを完全に確かめるために、表示された指紋がGentooの署名のページ上にある指紋かどうかを調べます。
デジタル署名が検証されれば、次にチェックサムを確認します。これは、ダウンロードしたISOファイルが破損していないことを確認するためです。 .DIGESTS.ascファイルには、複数のハッシュアルゴリズムが含まれています。そのため、適切なものを検証するための1つの方法としては、.DIGESTS.ascに登録された先頭のチェックサムを見てください。 例えば、SHA512チェックサムを取得します:
user $
grep -A 1 -i sha512 install-amd64-minimal-20141204.iso.DIGESTS.asc
# SHA512 HASH 364d32c4f8420605f8a9fa3a0fc55864d5b0d1af11aa62b7a4d4699a427e5144b2d918225dfb7c5dec8d3f0fe2cddb7cc306da6f0cef4f01abec33eec74f3024 install-amd64-minimal-20141204.iso -- # SHA512 HASH 0719a8954dc7432750de2e3076c8b843a2c79f5e60defe43fcca8c32ab26681dfb9898b102e211174a895ff4c8c41ddd9e9a00ad6434d36c68d74bd02f19b57f install-amd64-minimal-20141204.iso.CONTENTS
上記の出力では、2つのSHA512チェックサムが表示されます。1つはinstall-amd64-minimal-20141204.isoファイルのもので、1つはそれに付随する.CONTENTSファイルです。最初のチェックサムだけが重要で、その 比較対象となるSHA512チェックサムは、以下のように生成することができます:
user $
sha512sum install-amd64-minimal-20141204.iso
364d32c4f8420605f8a9fa3a0fc55864d5b0d1af11aa62b7a4d4699a427e5144b2d918225dfb7c5dec8d3f0fe2cddb7cc306da6f0cef4f01abec33eec74f3024 install-amd64-minimal-20141204.iso
双方のチェックサムが同一であれば、ファイルは破損していません。インストールを続行できます。
ディスクに書き込む
もちろん、ISOファイルをダウンロードしただけでは、Gentoo Linuxのインストールは始められません。ISOファイルはブートCDに書き込む必要があり、しかもISOファイルそのものではなく、ISOファイルの中身を書き込む必要があります。以下にいくつかのよく使われる方法を示します--より詳細な情報が知りたい場合はISOファイルの書き込みについてのわたしたちのFAQを見てください。
Microsoft Windowsでの書き込み
Microsoft Windowsでは、ISOファイルのCD書き込みをサポートする多数のツールが存在します。
- EasyCD Creatorを使う場合は、File、Record CD from CD imageの順に選択してください。次に、Files of typeをISO image fileに変更してください。それから、ISOファイルの場所を見つけてOpenをクリックしてください。Start recordingをクリックすると、CD-RにISOイメージが正しく書き込まれます。
- Nero Burning ROMを使う場合は、自動的にポップアップするウィザードを中止して、FileメニューからBurn Imageを選択してください。書き込むイメージを選択して、Openをクリックしてください。Burnボタンを押して、ほやほやのCDが焼きあがるのを待ちましょう。
Linuxでの書き込み
Linuxでは、ISOファイルのCD書き込みにcdrecordコマンドが利用可能です。これはapp-cdr/cdrtoolsパッケージに含まれます。
例えば、/dev/sr0デバイス(これはシステム上の1番目のCDデバイスです。必要ならば正しいデバイスに置き換えてください)のCDにISOファイルを書き込むには:
user $
cdrecord dev=/dev/sr0 install-amd64-minimal-20141204.iso
GUIを好むユーザーはkde-apps/k3bパッケージの一部であるK3Bを使うことができます。K3Bでは、ToolsメニューからBurn CD Imageを選択してください。それから、K3Bの指示に従ってください。
起動する
インストールメディアから起動する
インストールメディアの準備が出来たら、このメディアで起動させましょう。メディアをシステムに挿入してから再起動し、マザーボードのファームウェアメニューに入ります。Power-On Self-test (POST) 画面の間に DEL か F1 か F10 か ESC を押すものが多いですが、このトリガーとなるキーはシステムやマザーボードによって異なります。マザーボードのモデル名でインターネット検索をすると簡単に見つけられるはずです。ファームウェアメニューに入ることができたら、外付けブートメディア (CD/DVDやUSBメモリなど) の起動順位を内臓ディスクより "先" にしましょう。そうしないと、外付けブートメディアを無視して内臓ディスクから起動してしまうでしょう。
Gentoo を、BIOS ではなく UEFI インターフェースを利用する方法でインストールした場合には、UEFI から直接にブートすることをお勧めします。もしそうしないのであれば、Gentoo Linux のインストールを完了するより前に、UEFI のブータブル USB スティックメモリ(あるいはその他のブータブルメディア)を一度作成しておく必要があるかもしれません。
もしまだなら、インストールメディアがシステムに挿入されているか、またはプラグでシステムに繋がれているかを確かめて再起動させます。ブートプロンプトが表示されるはずです。この画面で、Enter を入力すると、デフォルトのブートオプションで、ブートプロセスが進行します。カスタムブートオプションでブートさせたい場合には、カーネルとブートオプションを指定して Enter を入力します。
ブートプロンプトでは、利用可能なカーネル (F1) とブートオプション (F2) を表示させることができます。(情報を表示したりカーネルを選択したりすることなく)何もしないで15秒経過すると、(メディアからではなく)原則通りにディスクからブートします。この仕様により、CDを取り除くことなしに、再起動してインストール後の環境に入ることができます(特に遠隔でインストールした際に便宜です)。
カーネルの選択について触れました。MinimalインストレーションCDでは、2つだけの予め定義されたカーネル起動オプションが提供されています。デフォルトのオプションは、 gentoo と呼ばれています。もう一方は"-nofb"の付いたバリエーションで、これはカーネルのフレームバッファを無効にしたものです。
次の章で、利用可能なカーネルの概要を示します。
カーネルの選択
- gentoo
- K8 CPU (NUMA サポートを含む) と EM64T CPU に対応した、デフォルトのカーネル
- gentoo-nofb
- gentoo のカーネルからフレームバッファ対応を除いたもの
- memtest86
- ローカル RAM のエラーを検査する
カーネルと並んで、ブートオプションはブートプロセスをさらに調整するのに役立ちます。
ハードウェアに関するオプション
- acpi=on
- ACPIサポートを読み込み、自動的に acpid デーモンを起動します。システムがACPIなしでは正しく動かない場合に指定します。ハイパースレッディング対応にこのオプションを使う必要はありません。
- acpi=off
- ACPIを無効にします。APMを使う古いシステムで有用なことがあります。このオプションはCPUのハイパースレッディング機能のサポートを無効にします。
- console=X
- シリアル端末による接続を設定します。デバイス名 (x86 では ttyS0 が多い) に続けて接続オプションをカンマ区切りで指定します。デフォルトのオプションは 9600,8,n,1 です。
- dmraid=X
- device-mapper RAID サブシステムに渡すオプションを指定します。Options should be encapsulated in quotes.
- doapm
- APMドライバのサポートを有効にします。
acpi=off
も併せて指定しなければなりません。 - dopcmcia
- PCMCIA および Cardbus ハードウェアのサポートを読みこみ、pcmcia cardmgr を自動的に起動します。このオプションはPCMCIA/Cardbus デバイスから起動する場合にのみ必要です。
- doscsi
- ほとんどのSCSIコントローラのサポートを読み込みます。大抵のUSBデバイスはカーネルのSCSIサブシステムを使用するため、そのようなデバイスからの起動にも必要です。
- sda=stroke
- BIOSが大容量ディスクを扱えない場合でも、ハードディスク全体をパーティションできるようにします。このオプションは古いBIOSを使うシステムでのみ使用します。sda を対象のデバイス名に置き換えてください。
- ide=nodma
- DMAを強制的に無効にします。一部のIDEチップセットとCDROMドライブで必要になることがあります。もしIDE接続のCDROMドライブの読み取りに問題が発生する場合、このオプションを試してみてください。このオプションを指定するとデフォルトの hdparm 設定も実行されなくなります。
- noapic
- 最近のマザーボードに搭載されている Advanced Programmable Interrupt Controller を無効にします。この機能は古いハードウェアで問題が起きることが知られています。
- nodetect
- CDによる全ての自動検出を無効にします。これにはデバイスの自動検出やDHCPの検出が含まれます。CDやドライバがうまく動かない時のデバッグに使います。
- nodhcp
- 検出されたネットワークカードでのDHCP検出を無効にします。静的なアドレスのみで構成されるネットワークに便利です。
- nodmraid
- device-mapper RAID のサポートを無効にします。オンボード IDE/SATA RAID コントローラーを使う場合などに使います。
- nofirewire
- Firewareモジュールの読み込みを無効にします。起動時にFirewireハードウェアが問題を起こす場合にのみ使うべきです。
- nogpm
- gpm による端末上でのマウスサポートを無効にします。
- nohotplug
- hotplug / coldplug init script の読み込みを無効にします。CDやドライバがうまく動かないときのデバッグに使います。
- nokeymap
- US配列以外のキーボードレイアウト向けのkeymap選択を行いません。
- nolapic
- ユニプロセッサ環境でのローカルAPICを無効にします。
- nosata
- シリアルATAモジュールの読み込みを行いません。SATAサブシステムで問題が発生する場合に使います。
- nosmp
- 対照型マルチプロセッシング (SMP) が有効なカーネルでは、これを無効化します。一部ドライバやマザーボードで発生するSMP関連の問題のデバッグに使います。
- nosound
- サウンドサポートと音量調整を無効にします。サウンドサポートが問題を起こす場合に使います。
- nousb
- USBモジュールの自動読み込みを無効にします。USBの問題をデバッグする際に使います。
- slowusb
- IBM BladeCenterのような低速なUSB CDROM向けに、起動時の待機時間を延ばします。
論理ボリューム・デバイス管理
- dolvm
- Linux の Logical Volume Management を有効にします。
その他のオプション
- debug
- デバッグコードを有効にします。大量の情報を画面に表示するので、ごちゃごちゃして見えるかもしれません。
- docache
- 実行時に必要なCDの情報を全てRAM上にキャッシュすることで、 /mnt/cdrom のマウントを解除して別の CDROM をマウントできるようにします。このオプションを使うには最低でもCDのデータ量の2倍のRAMが必要です。
- doload=X
- initial ramdisk に指定したモジュールとそれが依存するモジュールを読み込むよう指示します。Xにカンマ区切りのモジュール名のリストを指定します。
- dosshd
- sshd を自動起動します。無人セットアップに便利です。
- passwd=foo
- =の後ろに指定した文字列を root パスワードにします。デフォルトでは root パスワードがスクランブルされているので、"dosshd" を指定する場合にこのオプションが必要になります。
- noload=X
- initial ramdisk に指定したモジュールを読み込まないよう指示します。問題を起こすモジュールを読み込ませたくないときに使います。構文は doload と同じです。
- nonfs
- portmap/nfsmount の自動起動を無効化します。
- nox
- Xが有効なLiveCDで、Xを自動起動せずコマンドライン環境に移行するよう指示します。
- scandelay
- 初期化に時間のかかるデバイスのために、ブートプロセスの途中で10秒待機させます。
- scandelay=X
- 初期化に時間のかかるデバイスのために、ブートプロセスの途中で指定した時間待機させます。Xを任意の秒数で置き換えます。
ブートメディアは、
do*
オプションより先に no*
オプションを判定しますので、指定した順番が覆ることがあります。メディアからブートしたら、(デフォルトの gentoo カーネルで足りなければ)カーネルを選び、また、ブートオプションを選びます。例えば、gentoo カーネルで、dopcmcia
をカーネルパラメーターに指定して起動するには、以下のようになります。
boot:
gentoo dopcmcia
次に起動画面やプログレスバーを目にすることになりますが、もし英字配列以外のキーボードを使っている場合はここでAlt+F1を押して、画面の指示に従ってキー配列を選択してください。10秒以内に選択しない場合はデフォルトの英字配列が選択されたものとして起動します。起動が完了すると、Gentoo Linuxの"ライブ"環境にrootとして自動ログインします。端末にrootプロンプトが表示されていますが、Alt+F2、Alt+F3、Alt+F4を押すことで他の端末に切り替えることができます。最初の端末に戻るにはAlt+F1を押します。
例外的なハードウェア構成
インストールメディアが起動するとき、すべてのハードウェア機器を検出して適切なカーネルモジュールを読み込もうとします。これは非常に多くの場合、とても良い仕事をします。しかしある場合において、システムに必要なカーネルモジュールを自動で読み込まないかもしれません。PCI自動検出機能がシステムのハードウェアを見逃した場合、適切なカーネルモジュールを手動で読み込む必要があります。
次の例は、(ある種類のネットワークインタフェイスをサポートする) 8139tooモジュールを読み込みます:
root #
modprobe 8139too
追加可能: ユーザアカウント
インストール環境に他の人たちがアクセスする必要があったり、インストールメディア上で非rootユーザでコマンドを実行する(例えば、セキュリティ上の理由から、root権限無しでirssiを使ってチャットする)必要があるなら、別のユーザアカウントを作成し、強いrootパスワードを設定する必要があります。
rootパスワードを変更するには、passwdユーティリティを使ってください:
root #
passwd
New password: (新しいパスワードを入力) Re-enter password: (もう一度新しいパスワードを入力)
ユーザーアカウントを作成するためには、まずアカウントの資格情報を、次にパスワードを入力します。このために、useraddとpasswdコマンドを使います。
次の例では、johnというユーザが作成されます:
root #
useradd -m -G users john
root #
passwd john
New password: (Enter john's password) Re-enter password: (Re-enter john's password)
現在のrootユーザから新しく作成したユーザアカウントに切り替えるには、suコマンドを使ってください:
root #
su - john
追加可能:インストール中のドキュメント閲覧
TTY
Gentooハンドブックをインストール中に見るには、最初に上記の方法でユーザアカウントを作ってください。そしてAlt+F2を押すことで新しい端末を使い始められます。
インストール中、 linksコマンドでGentooハンドブックを閲覧できます。もちろん、インターネット接続が機能し始めた瞬間からですけど。
user $
links https://wiki.gentoo.org/wiki/Handbook:AMD64
元々の端末に戻るには、Alt+F1を押してください。
GNU Screen
公式 Gentoo インストールメディアにはデフォルトで GNU Screen ユーティリティがインストールされています。熟練の Linux ファンにとっては、上に書いた複数の TTY を使う方法よりも、ペインを分割してインストール指示を読むために screen を使うほうが効率がいいかもしれません。
追加可能:SSHデーモンの開始
他のユーザーがインストール中にシステムにアクセスできるようにする(インストール中のサポートをしたり、あるいは全て遠隔操作で行うため)ためには、(前述の通り)ユーザーアカウントを作成し、SSHデーモンを起動する必要があります。
OpenRC 上で SSH デーモンを始動させるためには、次のコマンドを実行します:
root #
rc-service sshd start
ユーザーがシステムにログオンすると、(指紋・fingerprint と呼ばれるもので) ホスト鍵を確認するようメッセージが表示されると思います。これはSSHサーバーへの最初の接続では期待される典型的な挙動です。ところが、この後の手順でシステムのセットアップが完了した後、改めてログオンしようとすると、SSHクライアントはホスト鍵が変更されていると警告します。SSH的には別のサーバー (現在インストールに使っているLive環境ではなく、新しくインストールされた Gentoo システム) にログオンしようとしているように見えるのです。この場合は画面上の指示に従い、クライアント側で記憶しているホスト鍵を更新しましょう。
sshdを使えるようにするには、ネットワークを適切に機能させる必要があります。ネットワーク設定の章を参照してください。